blueskycrawler’s blog

日記と読書の記録

「永い言い訳」西川美和

おもしろいストーリーだった。家族を必要としていなかった男が他人の家族との付き合いで変わっていく・・


犬猫が動物嫌いの人間を瞬時に感知するのと似て、母親という生き物は「人の親でない者」を見抜くセンサーを持っているように感じてきたが、どうやらそれも百発百中ではないようだ。

子供を愛することって、これまで自分がやってきたどんな疾しいことだって夢みたいに忘れさせてくれるから。これは男たちが、父親になることで手にすることのできる、一つの大きなご褒美だ。

誰かにとって、「自分が不可欠である」と思えること、「自分が守ってやらねばどうにもならない」と思えることは、何と甘美なのだろう。

ぼくは改めて思う。子供というのは実に現金だ。現金さを、包み隠そうともしない。人は彼らを私利私欲のない純粋な存在だと言うが、それは経済観念の問題だけであって、自分の快楽的利得に対しては大人以上にどん欲だし、慎みを知らない。自分の心地良さのためならば、相手の思いを無視したり、踏みにじることに何の躊躇もない。仁義も義理もない。こと大人が相手なら、手加減を知らない。それを純粋というのなら、なるほど彼らは純粋だ。動物並みに。

「子供って、毒ですよ。僕なんかは、見てて悲しくなるんです」
「あんなまぶしい、素晴らしいものと、自分は無関係に生きていると思うと、自分が生きてる意味がないような気がして」

そっかー。まーたしかに子供はかわいいし子供を持つことはすごいと思うけど。それに生きる意味を見出すのはなんか嫌。

永い言い訳