blueskycrawler’s blog

日記と読書の記録

「クライマーズ・ハイ」横山秀夫

映画を見て懐かしくなって再読。やっぱり小説と映画は別物ですね。サマリにすらなっていない全くの別物。やっぱり内面がしっかり描かれてる小説の方が好きかな。


御巣鷹山にて=佐山記者】
若い自衛官は仁王立ちしていた。
両手でしっかりと、小さな女の子を抱きかかえていた。赤い、トンボの髪飾り。青い、水玉のワンピース。小麦色の、細い右手が、だらりと垂れ下がっていた。
自衛官は天を仰いだ。
空はあんなに青いというのに。
雲はぽっかり浮かんでいるというのに。
鳥は囀り、風は悠々と尾根を渡っていくというのに。
自衛官は地獄に目を落とした。
そのどこかにあるはずの、女の子の左手を探してあげねばならなかった──。

私の父や従兄弟の死に泣いてくれなかった人のために、私は泣きません。たとえそれが、世界最大の悲惨な事故で亡くなった方々のためであっても

あんなに泣いてもらえればねえ……。
羨んだのだ。墜落事故で亡くなった人のことを。
自分が死んでもあれほど悲しんでくれる人はいない。老婆は知っているのだ。

横山秀夫さんの小説はどれも重くて深くておもしろいけど、新聞記者時代の実体験が元になっているというだけあってものすごいおもしろさだった。

クライマーズ・ハイ横山秀夫