blueskycrawler’s blog

日記と読書の記録

「ナンバー」相場英雄

続編が出ていたので再読。警視庁の捜査第二課(知能犯つまり贈収賄、選挙違反、通貨偽造、詐欺、横領、背任、脱税、不正取引などの金銭犯罪、経済犯罪、企業犯罪を扱う)に配属されて四苦八苦する若手を描いた短篇集。人が頑張って成長していく姿。おもしろかった。

ナンバー

「告白」

衝撃のストーリーだった。おもしろかった。松たか子木村佳乃が母親役で怪演。逆バージョンも見てみたい感じ。しかし、母子の愛情ってすごいんだな。『心の弱い者がさらに弱い者を傷つける。傷つけられた者は耐えるか死を選ぶしかないのか。いや、君たちが生きているのはそんな狭い世界じゃないんだ。今いる場所が苦しいのなら、別の場所に避難してもいいんじゃないか。』秦かなえの原作を読みたくなったけどKindle版がなかった。とほほ。

告白

「ガラパゴス」相場英雄

震える牛」の続編?派遣社員と正社員のお話。ものすごくおもしろかった。


普通に働き、普通にメシが食えて、普通に家族と過ごす。こんな当たり前のことが難しくなった世の中って、どこか狂っていないか?

自由で実力主義な世の中になった反面、運や能力に見放された人たちには厳しい世の中、ということかな。

ガラパゴス

「不発弾」相場英雄

なんだろう。立身出世の物語なのかなんなのか。よくわからなかった。


幸せは自分で作れ。そんなもんは他人からもらうもんじゃない

社員は今までの三倍働け。部長や常務は一〇倍は働け。俺はそれ以上に働くから

長くサラリーマンをやっていると、人間のやっかみや嫉妬の凄まじさを肌身で知っています

結局、ごつごつした手を持つ下層の人間が這い上がるには、同じランクの人間を食い潰す必要があるのだ

たとえ生真面目な人がいたとしても、企業という淀みの中にいれば知らず知らずのうちに汚れます。特に、日本の企業は淀み、いや泥濘の状態が酷い。要はごまかせるものはごまかそうという風土があるのです

サラリーマンでもそうでなくても偉くなって稼がなきゃつまらないよね。

不発弾

「震える牛」相場英雄

あれ?これ読んだことなかったけ??ってか相場英雄ってこんなおもしろかったっけ???ってな感じ。ミステリとしてめっちゃおもしろかったし、取り上げられてる社会問題もとても興味深かった。

震える牛

「慟哭」貫井徳郎

読んだことあるような気がしていたけど読んだことなかった貫井徳郎の大作。めっちゃおもしろかった。


ふと○○は、自分がどうしようもなく孤独だという事実に思い至った。気づいてみれば、誰もいない。彼が必要とする人も、彼を必要としている人も、ひとりだっていやしない。これが勁く生きるということか。己に厳しくあれと心がけてきたのは、とりもなおさずこんな寂しい人生を生きるということなのか。だとしたら、おれはいったい今まで何をしてきたのだろうか。ククク、と自嘲の響きが口から漏れた。心底おかしくてたまらぬように、○○は肩を震わせて、いつまでも笑い続けた。

人間の一番の敵は孤独なのかな。僕も10年ほど独り。そろそろやばいのかもしれない。そんな気がした。

慟哭

「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」二宮敦人

すごい。ふつーのサラリーマンというカテゴリでは出会えない天才たちのお話・・・


キャンパス内にもホームレスさんの家があるよ。取手キャンパス(茨城県取手市)には普通にあった

ピアニストにとって指は商売道具だもの。傷つけて演奏ができなくなったら大変、練習できないだけでも困る。一日練習しないと、三日分ヘタになるって言うくらいだからね。重いものも持たないし、スポーツもしない。それは、プロならばより意識してるはずよ。私も高校の頃は、体育は見学してた

音校の、特にピアノやヴァイオリンに入る人はね、三歳くらいで人生の進路を決めてしまうことになるのよ

あくまで自然に、楽しんで最前線を走っていく。天才とは、そういうものなのかもしれない。

将来にも正直、不安はありますけど、でも、自分で切り開いていきたいって思ってます。幸せなことを数えて生きていきたいなって

百人いたら百人がこちらを好きになってくれることはない。だが、百人がこちらを嫌うこともない

コンクールは何回やっても緊張します。緊張で八割の力しか出せないなら、実力を二割増しにできるよう練習しなければいけません。本番で実力以上の力が出ることはないですから

体が作られる時期に練習をすることで、楽器に適した体に成長するの。その時期を逃して後から始めると、もうそれだけで差がついちゃう……

やりたいからやるのではなく、まるで体に刻みこまれているように、例えば呼吸することを避けては通れないように、人はモノを作るのかもしれない。

先生の演奏を聴いていると、本当に、涙が出てくるほど感動するんですよ。打楽器だけの演奏で、ですよ?どこまで音を突き詰めるか、どこで妥協してしまうのか……自分との戦いで、人生に通じるところがあります

彼らの日常は全て、本番に向けた練習なのかもしれない。トライアングルを鳴らす時、履いていく靴を選ぶ時、彼らは人知れず精神を研ぎ澄ませている。そんな人を、音楽家というようだ。

アートは一つのツール、なんじゃないですかね。人が人であるための

私たちは音楽の末端でしかない。けれど、その末端は本当に美しくなければならない

音楽って、生きていくうえでなくてもよいものなんです。でも、長い年月をかけて発展してきました。やっぱり……なくてはならないものなんだって思います

「進学」と「不明」が、八割を占める。それが藝大生の進路なのだ。「何年かに一人、天才が出ればいい。他の人はその天才の礎。ここはそういう大学なんです」

ある意味、就職してる時点で落伍者、といった見方もあるのよ。就職するしかなかった、ということだからね。あいつは芸術を諦めた、みたいな……

「学長、よろしくお願いいたします」
「お前ら、最高じゃあああああああァ!」
「毎年見とるけど、今年はとぉーくによかった!最高!素晴らしい!ええか、これからの日本には、お前らの力が必要なんじゃああああァ!ニッポンの文化芸術を背負うのは、お前らじゃああああァ!以上ッ!」

こういう世界もあったんだな。人の生き方の幅広さ。不思議な感じがする。

最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常